オーナーのご厚意で筑波サーキットでGSX-R1000(K5)に試乗す る機会に恵まれました。
さて、ずっと自分の中での「スーパースポーツってどうなんだ ろう」っていう疑問に終止符を打つ、もっと大げさにいうと自 分のバイクライフに大きく影響を与えるかもしれない今回の試 乗ですが、マシンの方はオーナーを知る人なら「よく貸しても らえたね」と言われるほどの愛情がこもっているバイクであり 、しかもそのオーナーは僕を信用して完全に管理を僕に任せて くれています。
つまりこの場には居ません。もちろん転ぶつもりは一切ありま せんし、転ぶつもりで攻める等という事は毛頭考えていません が、万が一にも転べない、、というか正直にいうとプレッシャ ーのあまり乗るのやめようかと思ったくらいです。
でもそれはそれでせっかく色々と用意してくださり、またここ まで何回も時間を割いて頂いて打ち合わせもしているのでそれ もまたオーナーには失礼だと(もちろん自分が乗りたいという のが一番ですが)考えて、乗せていただく事にしました。
さて、筑波には比較的早めに出発したものの、大渋滞にはまり1 本目の走行開始の30分前に到着。あわてるとろくな事が無いの で、心を落ち着けて準備し、オーナーから渡された手順に従っ てエンジンの暖機をし、各種準備が整った段階で15分遅れでコ ースインしました。
高速道路で少しだけ乗らせていただいたので、全く初めてでは ないですが、隼から乗り換えるとまず軽い。(というか押し歩 きの時点で軽いのですが)低速トルクも不足に感じることはあ りませんでした。
またポジションは身長174cmの自分ではポジションは全く違和 感無く、隼に比べるとハンドルが多少近くに在るような印象と 、詳しくは忘れましたがK5あたりから重心が低くなったのもあ ってか、やや腰高の感じはあるものの(レース用の外装がつい ているのでその影響が大きいかもしれません)またがった時に 乗り手である自分にそれほどの不安を与えるものはありません でした。
1周目はかなり慎重に走り出し、確か2周目でも22秒とかそうい うタイムで感触を確かめるように徐々に走りました。あまりに ゆっくり走ってもタイヤが暖まらない上に、ずっとラインを外 しているとはいえそれはそれで他車に迷惑がかかり危険だと感 じたので、少しずつペースを13秒、10秒と上げていきます。
それなりにレーシングスピードというか9秒8秒あたりまでペー スを上げて行きますが、どうも体に力が入ってるのとペースが マシンの要求(オーナーは相当速い人です)に対して遅すぎる のか乗る位置と車体のバランスがうまく取れない感じでした。 どうにもうまく乗れないなあ、という感触のまま走行を終了。 タイムは7秒5まで。
2本目は30分後で、自分のイメージではフロントをもっと動く 方が好みなのでサスセッティングをいじりたかったのですが、 時間も短いですし、ここで余計な要素を増やしても訳が分から なくなると思い、オーナーに教えてもらったピレリ用セッティ ング(普段はBT002がついています)に、フォークの減衰だけ 合わせました。
次の枠は初めてのB枠な上にR枠との混走の枠なので、これまた 危険な目に会いそうだったらとっとと出てこようと思ったので すが、物凄い勢いでぶち抜かれながらも、自分のペースで走っ ていたらサスセッティングの影響か、あるいは車体になれたの か、あるいはペースが上がってきてしっくりきたのか、さっき よりは車体に親しみが湧く感じです。
繰り返しますが、、絶対に転べないので、
1、コーナーの突っ込みのブレーキは隼よりも甘く
2、アクセルを開けるタイミングと開け方は隼よりも甘く
しながら、でもバンク角はしっかりと、車体が起きてからのア クセルはしっかりワイドオープンを心がけて走っていると5秒0 が出ました。しかも恐怖心はほとんど無く水中をゆったりと泳いでいるよ うな感覚です。
隼もR1000もスズキのバイクということでもともと共通点があ るのかも知れませんが、走っていると徐々に体から力が抜けて きてとても楽しかったです。しかし、ブレーキレバーが徐々に 入ってきて、コーナー入り口でブレーキに神経を使いすぎてい る自分と、5秒0という数字を見て「本気で攻めたら何秒でるん だろう…」とちょっと興奮してきてしまっている自分に気がつ いたので走行10分程を残して走行終了しました。
さて、「僕の」隼、「このオーナーの」R1000と、それぞれ完 全なストック状態ではない、、というよりはそれぞれの好みで 仕上げられた車両同士での話で、しかもレベルの低い僕のたわ ごとレベルでの話ではありますが、下記のような印象を受けま した。
タイムを出す方向に限って言うと、(僕の)隼がR1000に勝っ てるのはトルクだけだと思いました。(まあそれはスペックを 見れば分かる話なのですけど…)。
行きたいときに前に出れるこの自由度と自分の気持ちとの連携 度は何か新しい力を入れたような感覚に浸れます。また重い車 体とこのトルクのおかげなのか、R1000に乗って改めて隼につ いて考えると、自分の意思に対してキビキビと車体が動く割り にそれでいて唐突な挙動は隼の車重が吸収してくれ、なんだか 矛盾しているようですが、そういう安心感があります。
ただ、これはR1000の方は、オーナーが低回転での開けやすさ を狙ってレスポンスを鈍らせるセッティングにしているとの事 ですし、筑波サーキットでこの感覚を味わう回転数というのは 恐らくそれなりに低い回転数の領域なので、単にファイナルと かそのあたりの影響かも知れません。
隼が優れているのはその点だけで、それ以外はすべてR1000の 方が上で、実際の走行でいうとブレーキはそんなに効いている 感じがないのに予想以上に止まってしまう程だし、コーナーは 隼よりもグースに近いというといいすぎですが、それくらいバ イクは寝るし、ストレートの伸びはパワーバンドに入ったあた りからクランクが軽くなった様に回転が上がっていきます。ト ルクをそれほど伴ってないのが逆に恐怖心無くアクセルを開け られます。昔100馬力程度のGSFに乗っていたときに、140馬力 ほどのCBR900RRに乗せてもらったときの加速の感覚に似ていて 、高いところから落ちていくような、、、おいおいこれって もしかしてもの凄く速度でてないかい?的な加速感です。
※ただしこのR1000はオーナーの手により、僕の隼よりも10〜15 馬力以上パワーが上げられています。
自分の隼はこってりと時間をかけて自分好みの改造を施し、 ラップタイマーを睨みつけながら自分も隼も必死こいて5秒4で したが、R1000はオーナー推奨のサスセッティングにしただけ の車体で(とはいえオーナーが丹精こめてインジェクションの セッティング、車体のサスセッティング等々出されてはいます が)そのタイムをあっさりと切りました。それも丁寧に、丁寧 に走り、気がついたら出ていた、という程あっけなかったです 。(その力の抜き具合が良いという話はあるかもしれないけど )
ここからは出していない話なので、まあ単なる妄想というか、 とある隼乗りの遠吠えと捕らえていただいて結構ですが、隼等 のバイクからスーパースパーツへの乗換えを考えている方に少 しでも参考になればという事で書きますが(相性等々あるかも 知れませんが)、R1000を僕の好みに改造し(ハイスロとブレ ンボのラジポンがまず欲しくなりました)、隼で走るのと同じ 気持ちで攻め込めばそれだけで1.5〜2秒くらいは縮みそうな感 触を得ました。多分ですけどね。
この疑問に自分なりの結論を出すのが今回の目的だったわけで すが、今この時点ではNOです。
R1000に乗って改めて思ったのが隼のよさです。
隼のデビュー時に読んだ雑誌の記事に「300km/h出すバイクを 作ろうとしたんじゃない。究極のスポーツバイクを作ろうとし たら300km/hが出たんだ」と開発者の話が書かれていました。R1000 に乗り終えた後、隼のことを考えていてその言葉を思い出しま した。
僕の隼はリアにオーリンズ、フロントもスプリングとセッティ ングを変え、前後の車高も随分変わっていて、さらにスリッパ ークラッチと、すでにノーマルとは言えないのかも知れないの ですが、少なくとも今程度のタイムであれば、という注釈はつ きますが、R1000で味わえるスポーツライディングの興奮と楽 しみは僕の隼でも同じように味わえます。
隼は今となってはツアラーかも知れませんが、僕の隼程度に( つてやコネが無いと入手できないようなワンオフパーツや、一 部の金持ちしか買えない様な特別なパーツは使っていません) 多少手を加えてやるだけで、梨本さんが「これSSじゃん」とい ったように、スポーツバイクとしての素材の良さを見せてくれ る事を確信しました。(ちなみにオーリンズもスリッパークラ ッチもサーキットを走り出してしばらくしてから入れました。 入れなくても十分スポーツできると思います)
なので、厳密にタイムや結果を求めるなら、つまり選手権に出 て勝つとか、とにかく0.1秒でも速いタイムを出すのなら、確 かにR1000ですが、僕のように「速いねって言われて嬉しいレ ベル」での趣味でバイクライフを楽しむなら隼も決して悪くな いと思いました。
写真は最終コーナー前の切り返しをスライドしたままで出来な いか試して転びそうになったところ。
貴重な機会を本当にありがとうございました。
自分はまだまだ隼だのR1000だのいうレベルにはありません、、というとどんなレベルやねん、という話になりますが、隼で速くなることとスーパースポーツ(=正統なバイク)で速くなる事は矛盾していない事であるという事が分かったし、自分は隼とかグースとかのサーキットではちょっと変わったバイクに変に特化しているわけではない事も分かりました。そこから先の、マシンの個性だとか噂に聞くフレームのしなりだとかみたいなものまでフルに使って走るような事は多分まだまだ出来ません(乗り換えなと分からないよ、という意見も分かりますけどね)、という感じです。
というわけで、変にこだわるつもりはありませんが、隼のもっさりした鯨のような外見も好きですし、将来なにかあってR1000を買うような事があるとしても、少なくともいま現在では、まだまだやることや出来ることはあるし、それが遠回りとも思いません。
なので当分は隼からR1000に乗り換えることはないと思います。(とかいって07モデル買っちゃったりして!)
以上、「誰もおめーには興味ねえよ」という自分の中の誰かの声を無視しつつ、 スーパースポーツ欲しいよ〜、と悶えている非スーパースポーツ乗りの方々の なにかの参考にでもなれば幸いです。